藤井秀悟

  • 2009/12/08(火) 00:16:01

藤井秀悟。

別名「伊予の怪腕」この投手を初めて甲子園で見た時、衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えている。地区予選を連続完封で勝ちあがってきた藤井はその大会注目の的だった。大きく曲がり落ちるカーブに高速スライダー、内外角に見事に投げ分けられたストレートのキレにコントロール。プロ入り即戦力とさえ思った。さらに打っても4番を務めるなどバッティング技術も相当高く大きな怪我さえなければとんでもない逸材だと思った。

しかしそんな天才・藤井に簡単に野球をさせてくれない。甲子園のマウンドで投球中に左肘を脱臼し優勝候補だったにも関わらず無念の降板しチームも敗退。自らも投球できずにその年を棒に振った。素材は一級品でも大きな故障をした左腕にプロからの誘いはなく「終わった選手」とレッテルを貼られた。懸命にリハビリに務め回復を期すもなかなかベストな状態には戻らずも野球に対する情熱は衰えず大学進学をするのだった。
早稲田大学進学後は怪我も回復し卓越した投球術とコントロールでリーグ戦通算24勝をあげるなど活躍したものの高校時の躍動する様な投球フォームは成りを潜めダイナミックさに欠け今一物足りない感じだった。変化球のキレ、曲がりも高校時代に比べれば小さくストレートも走らず投球術だけで勝負するピッチャーになってしまった。ヤクルトに逆指名しドラフトされるも他球団からはそんなにマークされず注目されないピッチャーだった。




それでも野村監督のもと、ヤクルト黄金期を支える貴重な左腕として石井一、山部らと先発陣の一角を形成し活躍した。特に入団2年目の2001年は最多勝をはじめベストナインに選出されるなど他球団のスコアラーを後悔させる最高の働きを見せた。特に巨人相手にめっぽう強く巨人キラーの異名を欲しいままにした。
ある巨人戦で大量リードをした展開の9回の攻撃でランナーを3塁に置いて打席にはピッチャーの藤井。藤井はボテボテの内野ゴロを放ち全力疾走を見せたのだ。プロ野球選手として当然の行為だが「大量リードでピッチャーは打たない」という悪しき球界の伝統にそむいたとして巨人ベンチから野次や罵声を浴び涙を流して最終回のマウンドに登ったという事もあった。ただ単純に「野球が好き」「勝ちたい」という一生懸命さを汚された藤井の悔し涙はその後大きな問題に発展したのだった。

その後は肘の故障が再発し手術を度々受けるなど特に好成績を挙げる事なく日本ハムにトレードされ今季FA選手となった。
人間性なのか野球に対してストイックな性格が災いなのかいつも藤井の周りはいろんな問題がおきるようだがあの高校生時代のピッチングを見てビックリした僕は今でも嫌いな選手ではない。

注目の移籍先はどうもかつてのキラー相手で因縁のチーム巨人に決まりそうです。そんな縁も藤井らしい感じがするがとにかく最後まで納得いくまでプレーしてもらいたいものだ。応援している。



ロベルト・カルロス

  • 2009/12/07(月) 10:54:42

ロベカルことロベルト・カルロスももう36歳になったそうだ。ブラジルでも史上最高の左サイドバックと言われブラジルのワールドカップ優勝にも貢献し日本でもすっかりおなじみの選手だ。

もっともブラジルチームよりもスペインのリアル・マドリードの選手としての方が有名かもしれない。銀河系軍団と言われ毎年のように各国のスター選手が補強され移籍してくるチームにおいて10年以上もレギュラーを張り続けポジションの左サイドバックだけは補強の対象にならなかったほどの選手だった。

持ち味はサイドバックでありながらフォワードの選手さながらに前線に進出してはいくつも決定機を演出したり自ら得点を挙げていく。トップスピードに乗ったら誰も追いつけない程のスピードを持ち全盛期にはオリンピックの100m選手よりも早いと言われていた。しかもたぐいまれなスタミナの持ち主で攻撃参加したかと思えばしっかり自陣に戻り守備をするなど献身的な一面も持つ。さらには強烈なフリーキックが有名だろう。軽やかなステップを踏んだ左足から放たれるアウトサイドにかけた強烈な回転とスピードのフリーキックは「殺人キック」と言われ壁役の相手ディフェンダーを何人も病院送りにしたほどの力があった。常識はずれの軌道とスピードで放たれるボールは物理学者達の研究対象にされたとも言われ試合後審判員がロベカルのスパイクを入念にチェックしたという話は一度や2度ではなかったそうだ。

瞬発力と持久力、フリーキックも世界最高クラスで評価はかなり高かったが、僕は彼のロングスローの球のスピードと距離、正確性も桁はずれで何より凄いのではないかと思っている。ご存じのようにサッカーのスローインは両足を地面につけた状態で投げなければならないため、そのスローインは極めてむずかしく背筋力などフィジカルがかなり強くないと遠くにそして強い球は投げられない。そんなロベカルのスローイングは人間技ではないと言われ最長60m以上を投げたこともあるそうだ。60mといえばセンターサークル(フィールドの中央)から投げてキーパーを越えはるかゴールポストを軽く超える距離ということを想像していただければその凄さは理解してもらえるだろう。

36歳にもなり若くからトップレベルで多くの試合に出続けた体はさすがに衰えてきているのは明白だ。それでもまだまだ世界のトップに近いレベルではプレーできるのだろうが・・・そんなロベカルが故郷ブラジルの名門コリンチャンスと契約しあの怪物・ロナウドと同じチームに所属することなった。ロベカルのセンターリングをロナウドが決める。あのレアル・マドリードで何度も見られた黄金のホットラインがまた見られるかもしれないのだ。世界最高のサッカー王国ブラジルではあるが国内リーグといえば代表クラスのトップ選手や若手の有望株はヨーロッパを中心に世界各国に移籍していて流石に世界最高レベルのリーグではないが夢のコンビ復活は世界中のファンが楽しみにするところだ。是非、注目したい。皆さんもロベカルのロングスローに注目してみてはどうだろうか?



キム・ヨンギュン 韓国バレーの為に・・・

  • 2009/12/06(日) 17:37:59

「初めての海外進出は負担になるが、後輩たちのためにも自信を持ってプレーしたい」




韓国女子バレー界の至宝で100年に一度の天才少女と呼ばれるキム・ヨンギュンが韓国の女子バレー選手初の海外移籍選手として日本のJTに入団し早くも活躍を見せている。契約期間は変則のレンタル1年+1年。一年間のレンタル移籍後更新はJTと韓国の所属クラブ(興国生命)との話し合で延長するかどうかを決めるらしい。

キム・ヨンギュン。言わずと知れた韓国の至宝は192cmと恵まれた身長を武器に強烈なスパイクを打ち込みその切れ味はジュニア時代からしのぎを削りあう永遠のライバルである栗原や木村沙織を勝る。しかも192cmの高身長ながらレシーブ力は韓国一と言われチームメイトのリベロの選手が指示を仰ぐほどの実力でせかいでも最高クラスと言われているまさにバレーボールの申し子であり天才である。キム・ヨンギュンを僕が初めて見たのは4年前の「グラチャンバレー」だった。17歳のルーキーはスピードあふれる攻撃とたぐいまれなボールタッチ、安定感抜群の守備力などをみせ関係者の度肝を抜いた。さらに出場全選手中3位の得点をあげそのアタック決定率は全体2位とい素晴らしい国際デビューだった。あの衝撃は今でも覚えているし今なお、進化を遂げている。攻撃力よりも驚いたのは17歳にしてあの守備力。サーブカットの正確性に加え相手のアタックに対しての一瞬の判断力に機敏な動き。17歳の若さ、192cmの大型選手では考えられないプレーだった。そもそも中学生まではセンス抜群でありながら身長がかなり低くチームではリベロでないと試合に出られなかったらしく練習に練習をした成果が急激な身長が伸びた後もそのセンスと練習の成果を活かし即世界レベルになったわけだ。

近年の韓国バレーは宿敵日本に差をつけられタイなどの新興国にも敗れアジアでも苦戦をし続けている。そんな状況を自ら打破しようと海外移籍を決意し更なるレベルアップに努めようとしている。冒頭のコメントはキム・ヨンギュンが移籍会見で述べた決意である。まだ21歳の天才少女はこれからの韓国バレー界の為に後輩の為にパイオニアになろうとしているのだ。高校卒業後、即韓国の国内リーグのレギュラーになった上デビュー年に個人賞6部門の全てを獲得するなど早くから格の違いを見せつけてきたキム・ヨンギュンがよりレベルの高い海外を目指すのは当然の成り行きだろうがその未来に後輩たちへの思いがこもっているのも凄いと思う。

韓国の至宝キム・ヨンギュンを日本のVリーグで是非、生で見てもらいたい。それだけの価値がある凄い選手である。



木田優夫  村上ショージを師匠に持つ男

  • 2009/12/04(金) 11:04:10

木田優夫。




巨人を皮切りにオリックス→デトロイト・タイガース→オリックス→ロサンゼルス・ドジャース→シアトル・マリナーズ→ヤクルトと渡り歩き途中、解雇や戦力外通告、交通事故に野球浪人と話題にことかかない大ベテランピッチャーだ。

巨人時代からその明るくひょうきんな性格とひょうひょうとした面持ちでバラエティー番組に引っ張りだこの人気選手だった。特に趣味の漫画は野球以上のセンスと言われる程の才能で毎年、個展を開く程でプロも真っ青の実力らしい。





巨人時代に夜遊びをフライデーされた時の見出しに「巨人・木田は球は速いが帰りは遅い」と書かれ球団関係者もついつい笑ってしまったというエピソードはあまりにも有名か?さらにデトロイト・タイガースの入団会見では紋付き袴で鉢巻をし「ロボコップに会いに来ました」と笑いを誘った。

そんな木田も野球の成績は?というと高卒2年目に12勝を挙げMAX156kmの快速とフォークボールで奪三振のタイトルをとるなど注目された年以外は今一の成績に甘んじていた。肘の故障、手術などもあり半ば戦力外選手扱いでオリックスへトレードされ再起を誓ったがあまり活躍することなくFAで海外へ行くのである。もちろん、メジャーもそう簡単に活躍できる程甘い世界ではなく中継ぎを中心に投げ1勝は挙げるものの特に目立つことなく解雇されオリックスに戻ることになる。

持病の腰痛と肘の状態、球団との練習方法や配置の問題で確執が表面化し1年の浪人を経て再び海外へ活躍の場を求めることになる。外見や言動からは想像もできないほど野球に対して「頑固」である木田は調整方法や練習方法など頑なに自分流を貫き特に日本球界、マスコミからバッシングされることも度々あるがそれでも考え方を曲げないところは感心すらしてしまう程である。巨人時代に伸び悩む木田を見た首脳陣が天性のバッティングセンスを買って「打者転向」を真剣に打診したが頑なに固辞し結果、トレードされたこともあった。

腰の状態もよく期待された年に交通事故に見舞われるなど不運も重なったが海外でも結果は出ず、ヤクルトに復帰することになる。この時も木田復帰を強く訴えた古田監督に批判の目が向けられるなど木田の評価はあくまで低かった。プロ野球ファン獲得、ヤクルトファン層拡大に躍起になる古田監督の意思に誰よりも同調し積極的に行動したのは木田だった。自腹をきってファンを無料招待したり得意の漫画で似顔絵を書くサービスを行ったり、個人的に野球教室を開いたり、ブログを開設しファンとの距離を極端に縮めるなどその行動はアグッレシブだった。更に懸念された年齢からくる衰えを感じさせることなく予想以上の活躍を見せなんと16年ぶりにオールスターに選出される大活躍だった。ちなみにこの16年ぶりという記録はプロ野球最長で今後、抜かれることはないのではいかと言われる程の快挙であったことは言うまでもない。

辛い経験を乗り越えた生粋の頑固野球人はこのたび日本ハムに移籍することになった。自身8球団目の新天地での年俸は入団時と変わらない1000万円。41歳になる大ベテランは中継ぎ、ローテーションの谷間の先発要員としてフル回転を期待されている。入団が決まった木田は「北海道に行くと師匠の村上ショージさんとあまり会えなくなる。それだけが心配」と笑いを誘った。どこまでもひょうひょうとした木田節は健在だったが最後の花道をと決意に満ちた表情には確固たる自信がみなぎっていたように見えた。来季の活躍に期待したいところだ。



亀田興毅  内藤大助との一戦から

  • 2009/12/03(木) 07:51:04

亀田興毅と内藤大助の一戦は弟の仇打ちや世紀の大失態のみそぎなどいろんな因縁が絡み合い注目を浴びた試合となった。薬師寺と辰吉の一戦を彷彿させる日本中のボクシングファンを巻き込んだ試合は意外な試合経過をたどりそして亀田がその決着にケリをつけた。




亀田は湧き上がる周囲の期待とは裏腹にいつも以上に冷静にそしてクレバーに戦った。過去のボクシングスタイルから一変し決して熱くならず12Rを計算通りに運ぶ試合運びに更なる進化を見た気がした。判定の点差も4〜6点の差がつき誰が見ても勝者は明白な結果だったがその点差以上の強さを感じたのは僕だけではなかったはずだ。

徹底したアウトボクシング。距離をしっかりとってガードを上げカウンターパンチの可能性を常に内藤に意識させ続けた12R、36分間だった。
内藤は年齢(35歳)が注目されているがそのひょうひょうとした感じからは想像もできないほどハードパンチをもちこのクラスでは今でも世界最高クラスで亀田のそれをはるかしのぐと言われている。しかもノーモーションからのフックや独特の間合いで打ってくるトリッキーなパンチは相手の不意をつく効果的なパンチでKOの力はいまでも衰えていない選手だ。そんな内藤に対し亀田は徹底的にガードからはいり内藤の得意な距離に入らず実にうまい試合運びをしていく。

試合前にいつも以上の豪語とパフォーマンスで挑発し続けた亀田は若さを武器に徹底的に打ち合うと思われたしファンもそれを期待した。何より当の内藤自身がその展開を想定し開始早々から自ら仕掛け空回りしてしまう。そんな展開にありがちなファンからのブーイングが一切なく逆に亀田を褒める声が多いのは亀田の技量の凄さと計算され研究しつくした亀田の分析力、対応力の凄さがその声を封じたと言っていいだろう。

内藤は常々「ファンの喜ぶ試合を」と口にする。『ファンの喜ぶ試合=打ち合いそしてKO劇』とする内藤は有言実行したファイトだったが亀田は「昔はケンカと思っていがボクシングはゲームです」と23歳の”浪速の闘犬”は成長の言葉を残した。亀田のこの試合に対する「勝利」に対する執念とその先を見据えた目標が内藤を完全に凌駕したのだ。

残念ながら内藤はこの一戦をもって引退を決意することになるかもしれないし再起は難しいかもしれない。その内藤を破った亀田はその先をしっかり見据えている。日本人初の3階級制覇を視野に次のステージに旅たつのだろう。。「試合前はいろいろ言ったけど素直にありがとうと言いたい」と内藤に感謝の言葉を述べファンは勿論、父親に母親に感謝を述べた亀田は人間的にも一回りもふたまわりも成長を遂げた。そんな亀田に立ちはだかる大きな敵がタイの英雄・ポンサクレック。次回はこのポンサクレックとの対戦が義務つけられている。新たなパフォーマンスを見せた亀田の進化はまだ始まったばかりなのかもしれない。



アナライジング野球 尾花監督の手腕に期待

  • 2009/11/30(月) 08:23:19

「アナライジング野球」
低迷する横浜ベイスターズの再建を託された尾花新監督が掲げた新スローガンだ。低迷の最大の原因とされる投手陣の再編を特に託された名投手コーチにはその手腕をいかんなく発揮してもらいたい。

現役時代はヤクルト一筋で終えた尾花に転機が訪れたのは現役晩年に野村克也監督との出会いだ。
投球術に加え、配球や戦術を学んだエースは引退後も野村監督の元、コーチ業を始め「データ野球」の大切さを思い知る。その「データ野球」をベースに独自の考えをミックスさせた「尾花理論」は今、野球界で一番の情報力を持ち一番の成果を上げている。

ロッテコーチ時代に小宮山、伊良部などを指導し投手王国を作ったかと思えば
ダイエーに移籍しても斉藤和己を再生させ和田、杉内らを率いて常勝軍団を作り上げそのチームは12球団一の投手王国と言われ尾花コーチの株は一気に上がった。

三顧の礼の迎えられた巨人でも当時、才能がありながら開花しないスター投手が多数眠っていたチームにデータや配球の大切さを説き、若手には徹底的に下半身おを鍛えさせ調整方法を全面的に変えこちらも12球団一の投手王国を作り上げた
「一にも二にも投手陣を再建できる人物」という理由かられまで横浜に縁が薄かった尾花を招へいしたチームの再建は本当にできるのだろうか?つまり、「尾花理論」で弱体化した横浜投手陣は蘇るか?
就任後、「結果が出ていないのに同じ投げ方をしては進歩がない。横投げに変えてはどうだ」と早速若手に意見をしたという。今季、イースタンでは最多勝に輝いたものの一軍では未勝利の藤江均についても「一球、一球、考えて投げていない」と厳しく指摘していた。尾花本人も横浜の投手陣については「他球団と遜色はない。やり方によってはおもしろくなるはず」とチーム再建に自信を見せている。

横浜の先発陣には番長・三浦大輔にダイエー時代の教え子・寺原隼人、今季ロッテから移籍した清水直行に昨季途中加入し結果を残したランドルフ若手にも藤江を筆頭に、桑原、小林ら素質のある選手が揃っている。「尾花理論」によって才能を開花すれば面白い投手陣になりそうな予感はある。

「アナライジング野球」=「尾花理論」
過去のヤクルト、ロッテ、ダイエー、巨人に比べ比較的、選手層が薄く才能に乏しいといわれる12球団一、二を争う弱体投手陣の再建本当にできれば今後、名監督の仲間入りをするだろう。来季は是非注目して見たい。

田中秀太 「やっぱり最後まで秀太だな」

  • 2009/11/27(金) 01:21:32

「やっぱり最後まで秀太だな」引退試合でタイムリーエラーを犯し頭をかく熊本が産んだ天才野球少年をみて観客は拍手を送った。最後まで愛され続けた田中秀太が現役を引退した。この日2軍戦に集まった観客はなんと8000人。人気球団とはいえ2軍戦に観客はだいたい500人程度だからこの日集まった8000人は異例中の異例といっていいだろう。お目当ては「田中秀太の引退試合」である。





プロ野球生活15年で放ったヒットは通算で200本。「イチローの一年分しか打てませんでした」と会見で笑いをとった田中。2004年からヒットを打っていない選手が2軍とはいえ「引退試合」が開かれる程、チームメイトに愛されファンに愛された選手だった。

熊本県の名門・熊本工業で3番ショートで甲子園に出場したこともあった。ちなみに当時の2番セカンドで中日のいや球界最高のセカンドと言われている荒木がいた。熊本工業では広島に進んだ前田以来の天才として田中は評価され才能の高さは前田以上でプロでも屈指の存在になると言われていた。180cmと身長にも恵まれパンチ力もあったが足の速さ、肩の強さ、なによりバントなどの小技にも長けその素質は「末恐ろしい」とまで言われた存在だった。

そんな田中でも当時から威張ることなく下級生とも対等に接し、時には合宿中にじゃんけんに負け後輩の為にジュースを買いに行った事があるというエピソードまである。大事な試合でタイムリーエラーをした後輩が先輩からお仕置き的なノックを浴びているのを見て「俺も手伝うよ」と笑ってノックを受け続けたという話もある。「どうしてそこまでしてくれるのですか?」という後輩の問いに「これでいつか俺がエラーした時、お前は助けてくれるはずや」と笑ってごまかした田中はこの頃からみんなに慕われる兄貴分だったのだ。

そんな「愛すべき天才」もプロではなかなかチャンスを貰えず、少ないチャンスにも結果がでずにくすぶり続けてはいたがチームメイトから好かれる存在の田中はいつでもベンチのムードメーカーだった。同学年の赤星や福原、阪神に移籍してきた新井や金村らがそろって「秀太世代」と一番実績のない田中を持ち上げいつも田中を中心に輪ができ笑いが絶えなかった。それでも田中も一プロ野球選手。結果が出なければいつでも「解雇」される厳しい世界である。大事な場面で代走や守備固めで出てくるがいつも普通にそつなくこなすのにここ一番の場面ではことごとく失敗する選手だった。鳥谷の故障で巡ってきた先発出場のチャンスでエラーを連発しピッチャーの下柳にグラブを叩きつけられる「下柳事件」は有名すぎる話だ。

今季は2軍で再起を誓い若手と練習し続けたが一度も1軍に呼ばれることなく引退に至ったのだ。そんな田中に球団も粋な計らいで「引退試合」を行ってくれたわけだ。最後まで全力疾走で駆け抜け田中自慢のヘッドスライディングで最後までファンを沸かし続けた男に最後の最後に素晴らしい花道が用意されていた。9回に「ショート」のポジションについたのだ。高校時代に「熊本の天才」と言われ「熊本工業最高のショート」と言われた男が満をじしてショートのポジションにつく。しかも打球はその田中の元へ・・・。そこで田中は見事なまでのタイムリーエラー!チームはまさかの大逆転負け。田中のプロ野球人生を物語っているかのような結末に集まった8000人のファンは盛大な拍手を送った。「やっぱり最後まで秀太だな」と笑った阪神ファンとともにいつの日か一緒にノックを浴び続けた後輩の「お疲れさんでした」というメールの文字。愛され続けた野球人・田中秀太はいつまでも記録よりも記憶に残る名(迷)プレーヤーだったような気がする。



渡辺千真

  • 2009/11/26(木) 05:14:09

渡辺千真。





長らく低迷する横浜マリノス期待のルーキーで期待以上の結果を残したセンターフォワードである。国見高校時代には一学年先輩に怪物平山相太がいて目立たなかったがその素質は平山以上とも言われ早くから期待されていた。181cmと高身長ながら足元のテクニックにすぐれ抜群のゴール感覚を持つストライカーだ。高校2年生のインターハイの時には平山や中村北斗、兵藤慎剛ら今やJリーグのレギュラー選手となった面々を抑え得点王を獲得するなど高卒、即Jリーガーの呼び声が高かった。

早稲田大学進学後は過去にコーナーで「名門復活に大榎あり」と題し書いたこともあったが元清水エスパルスの大榎監督の元、2年連続でリーグ得点王に輝くなどその才能はさらに磨かれますます期待される逸材になった。

横浜Fマリノスから「ポジションと背番号「9」」を確約され最高のオファーを受けた渡辺は開幕戦に先発ししかも開始3分にゴールを決めファンを驚かせた。ちなみにこのゴールは1994年の市原(現ジェフ千葉)の城以来15年ぶりの快挙であった。この時から城が奪ったルーキーイヤー最多の12ゴールが渡辺の比較対象となり付きまとうのである。鹿島アントラーズに鳴り物入りで入団し話題を独占した大迫とは格の違いを見せるほどの活躍に周囲の目をやっと変わり始め渡辺の名はいつしか全国区になった。

そして11月21日のヴィッセル神戸戦で今季13得点目をあげ新人最多得点記録を15年ぶりに塗り変えたのだ。最近ではしっかりマークされ自由に動けないほどだったのに一瞬のスキをみつけては抜群のボディーバランスとスピードでかいくぐりシュートを重ねてきた。シュートの精度も日本人ストライカーの中では既にトップクラスで思い切りの良さも十二分に兼ね備えている。身長が高いことを活かしポスト役になることも多々あるが無難にこなし決定機を何度も演出して見せた。フィジカルの強さや日本代表に求められる守備の意識、持久力がもっとつけば近い将来フル代表にもしっかり名を刻む逸材である事は間違いない。先輩の平山が伸び悩んでいる現状を考えれば近い将来、日本のセンターフォワードは渡辺と呼ばれる日は遠くないと僕も思っている。

まだまだ知名度は高くないが「渡辺千真(かずま)」。横浜Fマリノスの背番号「9」を覚えておいてほしい

ゴルフ観戦マナーに物申す

  • 2009/11/22(日) 02:43:43

女子の宮里藍が高校3年生の時に仙台で行われた「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子トーナメント」で優勝し、ライバルの横峯さくらも出現し古閑美保や上田桃子など実力のあるアイドル系ゴルファーも次々に台頭し女子ゴルフの人気は格段に上がりテレビ視聴率もうなぎ登り、トーナメント会場の観客数も飛躍的に伸びた。遅れること数年、石川遼というスーパー高校生が突如登場し長らく低迷し続けた男子ゴルフ界にも女子同様、女子以上の盛り上がりを見せている。

ゴルフ界にとってこの空前のゴルフブームはとてもいいことだろうし歓迎される事であろう。しかしそれに伴い観客(ギャラリー)のマナーの悪さ、非常識な行動がここにきて大きな問題となっている。
石川遼見たさに大挙して現れるゴルフ初心者、ゴルフ未経験者の年輩女性の方々や若い方々の振る舞いが試合結果を左右する影響を見せ始めている。

試合中、しかもティーグランド付近で鳴る携帯電話音。アドレスに入って集中した選手に向けられるカメラのシャッター音。他のプレイヤーがまだプレー中なのにお目当ての選手見たさに歩き出す。さらにはお目当て選手のライバル選手が放ったミスショットに拍手を送るなど最低最悪の観客が続発しているのだ。

先日行われた静岡県の超名門コース、太平洋クラブ御殿場コースで行われた「三井住友VISA太平洋マスターズ」でも懸念された事件が随所に見られた。

石川が放ったティーショット。打った石川本人は勿論の事、ちょっとゴルフを知っているファンなら打った瞬間にミスと解るショットに対しすぐさまかけられる『ナイスショット!』の掛け声。流石の石川遼も持っていたドライバーで地面をたたきつけ声のした方向を睨みつけた。。「あの『ナイスショット』はないよ。誰だってイラッとするし感情を抑えきれないはず」と試合関係者も同情する始末。
さらにこの日パットが不調だった石川を逆なでするするような掛け声も・・・石川が約1メートルの短いバーディーパットを外し悔しがっている時にどこからか「ナイスパー」の声があがり石川はさらにイライラを隠せなくなった。ファンは応援しているつもりでもプレーしている本人には逆効果なのだ。

アメリカのツアーでは観客は選手が放ったボールの落下位置を確認してから「ナイスショット」の声を上げる。石川本人も、「米ツアーのギャラリーはよく知っている。選手を盛り上げるのがうまい」とよくコメントしている。誰よりもファンを大切にする石川が今後も表立って“素人ギャラリー”を批判するようなことはしないだろう。現にこの日の自らの行動に関しても。「次から怒るときは周りに感情をあらわにするのではなく自分を殴りたい」と自分を戒めている。勿論プロ選手であり、人気選手である以上こういった事案はいつも付きまとうだろうしそれらを克服する精神力も必要であるとは思う。しかしここは勇気を持って批判するぐらいの事をしないと今後の自分のゴルフを苦しめる気がしてならない。

ゴルフ協会もマナー向上の為の観戦マナーDVDを作り配布するなどマナー向上には積極的に取り組むが効果の方はどれぐらい期待できるのか未知数である。ここは石川本人が直接「駄目なものは駄目!」と強くメッセージを残す方がいいのではないだろうか?
それにしても今後もトップレベルの選手のトップレベルの戦いを見たいと願うコアなファンの為にも皆様もマナー向上に努めてもらいたい。

アジアの赤い虎 韓国サッカーの明るい未来

  • 2009/11/21(土) 04:00:28

アジアの赤い虎、とりわけ若虎が完全に目覚めた。U-20世代とU-17世代の両ワールドカップでどちらベスト8に入り世界水準であることを証明して見せた。

「2002年キッズ」と呼ばれる彼らは日韓ワールドカップでベスト4にはいった当時に10歳前後でその快挙に刺激を受けてサッカーを始めた世代の選手達なのだ。2002年開催を機に韓国国内に急増した天然芝のグラウンドやトレーニング施設など整備されたサッカー環境で育った選手が多くパク・チソンなどスター選手がヨーロッパの強豪クラブに移籍しテレビでヨーロッパサッカーを身近に目にする環境になったことなどがサッカーを志す少年が増えたそうだ。

韓国サッカーと言えば抜群のフィジカルを武器に”一本調子”だった。しかしここ数年、特にユース世代は創造性にあふれ卓越したテクニックを持ち華麗なパスサッカーを見せてくれる。アジアで通用していた韓国のフィジカルサッカーはそれまでワールドカップ本大会で一回も勝ったことがなくアジア水準の域を超えなかったが2002年を機にヨーロッパサッカーを取り入れ世界レベルでも結果をのこし始めている。

選手育成システムも完全にヨーロッパ化している点も見逃せない。かつての韓国は「国技はサッカー」と誰もが口にするほどサッカー人気は高かったがその育成システムは実に貧弱だった。
『体育特技者制度』という学校体育しか強化、育成プランがなかった。
このシステムを簡単に説明すると、年に数回あるトーナメント方式の全国大会で好成績を残さねば次に進学する学校、すなわちサッカー部がある学校にスポーツ特待生としてスカウトされないという韓国独自の選手選抜システムである。高いレベルでサッカーを続けていくためには進学のたびに好成績を残さねばならず、それだけに選手も指導者も勝利至上主義にならざるを得なかった。これは日本の高校サッカー以上の勝利至上主義といっていい。このシステムの為に技術や戦術知識の習得に多くの時間を割くよりも、手っ取り早く相手を圧倒できるスピードと体力の強化に主眼が置かれてきた。過去の韓国選手たちはそうした過酷な生存競争の中で強靭な体力や不屈の精神力、そしてここ一番での勝負強さといった「韓国サッカー」の伝統を心と体に染み込ませていたのだ。

それがアジアレベルでは通用し世界では通用しない事がわかってから韓国協会は抜本的に育成プランをヨーロッパ仕様に衣替えした。国内プロリーグのKリーグ各クラブにユース育成のための下部組織の設立を義務づけ、さらに学校の域を超え地域でチームを混成しリーグ戦を行い協会の巡回コーチが指導に当たるなど沢山の指導者、選手とお互いにレベルアップを意識しあえる環境作りをした。さらにこの世代で一番大事な指導者、監督、コーチを積極的に外国に派遣しそのトレーニング方法や情報網を広げ国際経験豊かな指導者の発掘に努めている。韓国のサッカー協会がユース育成費用を年間予算として計上している予算の率は世界でトップである。国家をあげてユース世代に力を入れているのが解る。

サッカーの普及と施設充実による底辺拡大にはじまり、実戦重視のリーグ戦導入に選手選抜システム、世界を知り尽くしユース年代を知るスペシャリストたちの指導・・・
韓国ユース世代の改革が如実に実を結んだ今年。この世代がフル代表の世代になった時、再び韓国はアジアNO,1の地位を取り戻すだけでなく世界水準で躍動していることだろう。この先、もっとこの育成プランが充実すればユース世代の世界大会で優勝も夢ではない気がする。アジアNO,1よりも世界トップクラスをもくろんだ韓国サッカーの未来は明るいと言っていいだろう。日本も負ける訳にはいかないと唱える協会の人はいないのだろうか?

スポーツマンらしくない行為は警告

  • 2009/11/20(金) 00:11:07

先日行われたJリーグのナビスコカップ決勝戦で敗れた川崎フロンターレの選手の態度が問題視され、とりわけガムをかみながらメダルを受けとった森選手が無期限の出場自粛という処分をクラブから通達された。

ナビスコ杯の決勝戦の川崎フロンターレは悲願の初タイトルがかかっていた上、下馬評でも圧倒的有利とされていたためか選手の落胆が大きく自分を見失ったのだろう。

確かにガムを噛みながら表彰式に出席する態度自体に肯定するポイントは一切無いし非常識極まりない態度である。しかしもっと最低最悪な態度もあったはずだ。例えばメダル授与後表彰式台に列席していた来賓との握手を拒んだ選手も数人いたし列に並んでいるほんの少しの待ち時間にしゃがんだり壁に寄りかかったりしている若手選手達。僕はガムを噛んでいた選手と同じ、いやそれ以上の制裁を与えてもいいのではないかと思うのだ。それぐらいの愚行であったはずだから。
悔しい気持もわかるし自分への不甲斐無さに対して気持があらわになったことも理解できなくは無い。しかしガム噛みながら表彰式に臨んだり握手をしなかったり座り込んだりもたれかかったりとおおよそ一般人なら到底考えられない行為だったし子供たちへの教育には絶対良くない行為だったということは明白だ。

日本サッカー協会は懲罰基準で「スポーツマンらしくない行為は警告の対象」と定めているらしい。試合中ゴールを決め感極まった選手がユニフォームを脱いで裸になったらイエローカードらしい。今回の一件は十二分にこれに値する行為で批判は避けられないだろう。

そんな事態が収まりかけたある日、この非紳士的行為が改めてクローズアップされた事があった。プロ野球日本シリーズでサヨナラ本塁打を放った巨人のキャプテン阿部慎之助選手がガムを噛みながらヒーローインタビューを受けていたのだ。プレー中にリラックス効果を生むといわれ噛んでいたガムをそのままにしてインタビューに臨みその醜態を全国の野球ファンにさらしてしまったのだ。しかし阿部のこの行為はさほど問題視されることはなかった。
表彰式と違いインタビュー台という公式的な場所でなかったという事を差し引いても視聴率や観客数、注目度の高さなど考えれば球団が注意を公式にしてもいいのではないかと思う。
この件に関して球団は「川崎の選手は負けた後で明らかに態度そのものに問題があったが阿部は勝った後だったしプレーの流れの中興奮状態でついついガムを捨て忘れたもので意味合いが違う」と釈明した。

それはそうだろうが「スポーツマンらしくない行為は警告の対象」という観点から言うと注意があってもいいのではないか?と思うのだが。ガムを噛みながらのプレーは集中力向上とリラックス効果があり、ガムをかんだ後では脳波がリラックスした状態になるとい科学的データがあるとはいえやはり見苦しい点は否めないし、不快に思う人がいるのも事実だ。

これを機に選手一人一人がもう一度自分の態度を省み子供の教育やモラルの一躍を担っている事を考えてもらいたいと思う。

カタリナ・ビット

  • 2009/11/19(木) 01:03:57

女子フィギュアスケートの選手で「華麗で強くて正確無比で精神的にもタフだった名選手」と聞かれれば僕はカタリナ・ビットを迷い無くあげるだろう。




皆さんは覚えているだろうか?東ドイツ出身で1984年のサラエボ五輪で初めて登場した妖精は華麗に氷上を舞い見ている者、全員を魅了した。今とは採点方法が違う為に単純に比較は難しいがショートプログラムもフリーも完璧にこなし圧倒的な強さで優勝した姿はまさに女王の風格さえあった。さらに4年の時を経て体力的には若干落ちたと言われたもののその華麗さ増して臨んだ1998年のカルガリー五輪でも優勝しカタリナ・ビットは完全に女子フィギュアスケート界の女王として君臨した。その時に舞った「カルメン」は観客を虜にし「ロビンフッド」では最後のフィニッシュの矢を射るポーズに心打たれたものだ。世界選手権でも5年間で4度優勝するなどその力は是って意的なものになった。

その後惜しまれながらも引退しプロのスケーターとして世界各地で違った形でフィギュアスケート界を盛り上げていった。そんなカタリナ・ビットの名を忘れかけた1994年のリレハンメル五輪でプロの出場解禁に伴い出場してきた時は「商業的」だとか「売名行為」だとか言われ無きバッシングにあった。当時、世界はソ連ペレストロイカやベルリンの壁崩壊など社会主義国圏の崩壊で急激な流れで動いていた時代だった。その反面、初めてオリンピックで舞ったサラエボが内戦の影響を受け町が崩壊するニュースが世界中のオリンピックファンを悲しませた。
ここにカタリナ・ビットが出場した意義があったことを観客は最終日のフリー演技で知る事になる。曲は「花は何処へいった」。
戦地と化したサラエボの街を思い出させ世界の平和を訴える演技だった。たしかにフィジカルの低下は否めないしジャンプの精度も欠いていた。内容も高度なテクニックについていけず得点は伸びずに7位に沈んだが拍手の大きさは出場した全選手の中で最大だった。

「衰えたカタリナ・ビットは見たくなかった」という声が無かったわけではないむしろ多かったかもしれない。それでもカタリナ・ビットの出場で改めて平和への思いを強めた人も多かった。

ここ最近のキム・ヨナの強さ、ショートプログラムの「ジェームス・ボンド」の曲に乗せた華麗な舞いの最後に見せるピストルを撃つ決めポーズを見てついついカタリナ・ビットの事を思い出してしまった。
冒頭の「華麗で強くて正確無比で精神的にもタフだった名選手は?」の問いに「キム・ヨナ」と答える日がそこまで来ているのかもしれない。答えはバンクーバーのリンクだけが知っているのだろうか?



関西学生アメフト 関京戦を振り返る

  • 2009/11/17(火) 00:09:56

関西学生アメフト界をここ数年引っ張ってる関西BIG3と言われる関西学院に立命館、京都大。今季は古豪・関西大学がこのBIG3を立て続けに撃破し予想だにしないまさかの優勝目前としている。
毎年リーグ戦の終盤に組まれ優勝争いのカギを握るBIG3の直接対決も今年は少々盛り上がりに欠けていた。特にBIG3といわれながらここ数年の京大はなかなか好成績が残せず優勝はおろか下位チームに取りこぼし優勝争いにも絡めないほどになっていた。今季もリーグ全敗の近畿大には勝利したものの立命、関大、同志社、甲南と4敗し最下位争いをするなど過去の栄光の歴史からすれば考えられない成績に甘んじていた。

しかし対関学戦には並々ならぬ対抗心を抱き、度々番狂わせを演じるなどいつになっても関西屈指の好カードとして色あせていない。先日行われた関学と京大の試合も久々に熱くなる一戦だった。

序盤は関学のパス攻撃が面白いように機能し17−7とリードして折り返した。京大ディフェンス陣は関学のラン攻撃には対応できるもののショットガンフォーメーションからのパス攻撃には全く対応できていなかった。後半になってもその流れは止めれないものの気迫溢れる気持ちのこもった必死のディフェンスでなんとか絶え凌ぎ失点を防いでいく。突き放せない関学オフェンス陣にも焦りが生じミスを連発し波に乗れない。京大も堅実な攻撃を続け10点を返し、気がつけば同点に。
ここ数年は序盤で大差がつき面白くない展開になっていた伝統の一戦も今年は下馬評を覆すシーソーゲームにファンは一喜一憂し盛り上がっていった。試合時間残り5分を切り京大が執念のタッチダウンパスを通しなんと6年ぶりとなるリードを奪うまさかの展開に・・ここからゲームは激動のクライマックスへ進んでいく。

逆転され焦りが生じ始めた関学はここでタイムアウトを挟み集中力を戻し、意地の総攻撃を見せる。パスとランの組みあわせは絶妙で完全に京大ディフェンスを翻弄。ノーミスでタッチダウンを奪い返す。ここで関学は確実に同点にできるキックを辞め2点コンバージョンという逆転をねらったギャンブルにでる。引き分けでは意味が無いという強い意識の表れか?見事成功し再びリードを奪い返す。京大万事休す。しかし残り3分30秒から京大も諦めずに攻撃を進める。しかもラン攻撃で時間を最大限に使いながら・・・仮に京大が逆転しても関学に再逆転を許す時間を与えないように考え抜かれた時間の使い方であった。焦る関学も反則できない危険な状況下に置かれ後手を踏み続けズルズルと後退してしまう。
流れは再び京大か?しかし京大はここで大事なパスをミスしてしまうのだ。残り30秒。計算されつくした攻撃に最後の最後でひずみが・・・。予定よりも早くで攻撃を使いきり「キックで逆転!」というシナリオが大きく狂う。しかし関学戦の勝利に対する執念はその逆境を跳ね返すのだ。誰もが諦めはじめ無謀と思われた残り43Yのギャンブル的なキックが見事に決まり残り16秒で再び1点差をつけ大逆転したのだ。奇跡の大逆転劇だ。
示した時計の針は残り16秒。歓喜に沸く京大ベンチ。勝利を確信したキッカー本人も放心状態にまでなった。

しかし残り16秒から本当のドラマが始まった。それは勝利を確信しきった京大ディフェンスに一瞬の隙が生まれマークがずれロングパスを通されてしまったのだ。確かに前半から関学のパス攻撃に翻弄されてきたがそれでもあんなにマークがずれる事はなかった。完全に油断から生まれたビッグプレーを許してしまう。それでも関学の攻撃に残された時間は2秒。たったの2秒しかなった。文字通り関学の最後の攻撃。
関学ベンチから出てきたキックのスペシャリストは昨年、大事な場面でキックを2本も外し優勝できなかった「A級戦犯」として酷評された2年生だった。残り2秒。観客が固唾を呑んで見守ったラストプレー。キックは堂々と真ん中に綺麗な放物線を描きブザーがなった。示した時計は0秒。関学の奇跡の大大逆転勝ちだった。

歓喜に沸き返る関学に茫然自失の京大。勝者と敗者が同じフィールドで全く違う顔を見せていた。見事な集中力で勝った関学も凄かったが不利な予想に屈せずここまで追い詰めた京大にも心から拍手を送りたい。久々に面白い関京戦を見せてもらったのだから。

日韓クラブチャンピオンシップ

  • 2009/11/14(土) 04:13:44

日本、韓国、台湾のトップチームと中国(混成チーム)を加えた4カ国によるアジアNO,1チーム決定戦として旗揚げされた、アジアシリーズが今年は行われないそうだ。観客動員や開催時期、過密日程など色んな問題があったもののアジア野球が世界最高峰のレベルであることを証明し続ける為には必要な大会だったかと思う。しかし近年の中国以外の国の企業スポンサーの不況などを理由に開催が見送られたようだ。加えて台湾のプロ野球界全体を巻き込んだ八百長事件の発覚なども大会の中止に拍車をかけたのかもしれない。

そんな中、韓国では今年は空前のプロ野球ブームだったそうだ。北京オリンピックの全勝優勝や前回に続き日本をとことん苦しめたWBCでの躍進など代表レベルの世界席巻がいい影響を及ぼしているらしい。
韓国のプロ野球が発足して28年。日本プロ野球の長い歴史から言えばまだまだ遠く及ばなくブームに乗り過去最高の観客数記録といっても動員数は一試合平均1万人前後である。超人気球団のロッテでさえ2万人前後しか平均して入らない。阪神の甲子園が毎試合5万人を超える事を思うとその規模は歴然である。

選手の年俸も格段に安く、物価やウォン安の事を加味しても1000万円貰っている選手は超スター選手扱いで極々僅かである。日本で一億円プレイヤーが一流とされているレベルと改めて比較してもらいたい。
トップクラス、代表クラスの人気選手がメジャーや日本のプロ野球へ流出してしまう現状は致し方ないのかもしれない。そうなると懸念される韓国プロ野球のレベルはやはりそんなに高くない。

一部のスター選手のプレーはずば抜けているが平均レベルで言うと到底日本のプロ野球では一年間戦えない戦力である。日本プロ野球で活躍の場を失った選手が韓国の地でスター助っ人として持ち上げる事もよくあるし日本で引退した選手が韓国で名コーチとして崇められる事もよくある。それでも韓国国民を熱くさせる野球がここにはあるという。今季から韓国プロ野球に籍を置く元巨人の門倉投手が「どんな試合展開でも最後まであきらめない姿勢に驚かされる」と話すようにどんな試合展開でも選手を休ませたり次戦に備えて気持を切り替えるような事を一切しないようだ。だから思わぬ大逆転劇をよく目にするそうだ。国民性でもあるのだろうが日本では序盤に大量点を奪われるとそのゲーム自体が死んでしまいチームの顔であろうストッパーも登板機会もなくゲームに入らずベテラン選手はそうそうにベンチにひき上げてしまい観客もついついしらけてしまう傾向があるが韓国ではそれが無いというのだ。

そして今季、新たな試みとして日本シリーズチャンピオン(巨人)と韓国シリーズチャンピオン(今季はKIA)が日韓クラブチャンピオンシップと題して戦うらしい。名実共にアジアNO,1クラブ決定戦であることは間違いない。お祭りムード、おまけシリーズ、若手中心の編成で来季をにらんだテストマッチと位置づけるであろうと予想されたが本気で戦う姿勢を見せている巨人とアジアNO,1の座を死に物狂いで奪いに来るであろうKIAの戦い。盛り上がっている韓国野球界に対し巨人は本物の強さで答えてもらいたいと思うのだが・・・・それが韓国のいやアジアの強いては日本のプロ野球発展の礎になるとおもうのだが

松井秀喜  チームの為にワールドチャンピオンの為に

  • 2009/11/13(金) 00:26:08

「皆様に大変迷惑をかけました。本当に申し分けない。しっかり治して必ず戻ってきます」
レフトで守備中に手首骨折という大アクシデントに見舞われ長期離脱を余儀なくされた松井がファンに対し手術を終えたばかりの病院から送った最初のメッセージだ。過去に怪我をしてファンに謝ったメジャーリーガーはいなかった。日本のプロ野球選手でもいなかった。そんな松井が度重なる膝の故障、手術を乗り越えワールドチャンピオンになった。




難敵ペドロ・マルティネスから放ったホームランでヤンキースは9年ぶりにチャンピオンを奪還した。ご存知の通り松井は見事MVPに輝き十二分にチーム優勝に貢献した。




今季契約最終年であるピンストライプのユニフォームを着て躍動する松井が手にしたかったものは来季以降の契約でもMVPでもなかったはずだ。本当にチームの優勝をだけをめざしチームに貢献できる事だけを願いチームの意向には全て従ってきた。好調時でも休めと言われればベンチに下がり慣れない代打起用も最低限の仕事をやり遂げた。全てはチームの為に。ワールドチャンピオンの為に。





今年どれだけ活躍しても「来季松井はニューヨークにはいない」というのは既定路線だった。チームの主力は軒並み30歳代後半を迎えキャッチャーのポサダも足腰の衰えからフルシーズン、マスクをかぶるのは難しく来季からDH専門になる予定だったしサードを守るA・ロッドも昨年10年以上の超大型契約を結んだものの守備の負担軽減からサード専任でなくDHとの併用というのもチームの方針だ。ショートを守るミスターヤンキース・ジーターも今季はゴールデングラブ賞をかくとくしたものの35歳になり衰えは否めない。
ライバル・レッドソックスから移籍してきて派手な活躍はしていないものの足と堅実な守備で貢献してきたデーモンも37歳になる。チーム高齢化を早く解消するのも常勝軍団として必要不可欠な事案であった。松井自身の守備に対する意欲はちっとも衰えていないし急激に足腰が弱ったとも思えない。しかし両膝を手術し足も速くなく肩もそんなに強くない松井にヤンキースは守備面では一切期待していない。つまりDH専門職人としか考えていないのだ。

そんな松井に払う給料は決して安くなく金満ヤンキースにおいてもコストパフォーマンスはいい選手ではない。この見解はあくまでビジネスとして考えたらの話しではあるが・・・・

そんな状況下でも松井は今出来る最高のパフォーマンスを発揮し続けた。今季、何度も松井のバットでチームはすくわれた。前半は手術明けの膝の回復が思わしくなく満足な成績は残せなかったが後半は膝の痛みも緩和し本来のバッティングを取り戻しこのポストシーズンに大爆発したのだ。

ファンに対する熱い思い、チームに対する貢献心だけで戦う松井のスタイルはもっと褒め称えられるべきではないだろうか?「チームプレー」簡単な言葉ではあるがここ数年ヤンキースが大型補強を重ねながら毎年の様に優勝候補と言われながら勝てなかった根源がその一点にあったといっても過言ではないはずだ。そのチームに「チームプレー」を積極的に取り入れた松井の評価がもう少し大きくてもいいような気がしてならない。

「それでも松井はヤンキースを去る」こんな見方がファンの間では当然のようにまかり通っている。契約上、チーム事情でそれは仕方がないのかもしれない。それはそれとして「松井」の名が「松井の考え」がもっともっとフューチャーされてもいいのではと僕は思う。



高山樹里

  • 2009/11/11(水) 14:12:35

高山樹里。ソフトボールの元日本代表投手で夏季五輪に3度出場し『女大魔神』と呼ばれた名ストッパー。





そんな元エースが女子ボブスレーの日本代表を目指すとニュースを今年の夏に聞き驚いた。
そりを後ろから押す「ブレーカー」として期待されたのだ。「ブレーカー」とはボブスレーで一番大事な役目と言われスタートダッシュで重いそりを押すパワーとダッシュ力を問われる。体重が重く全身にパワーがありそれでいて瞬発力、ダッシュ力がある選手を探していた協会が高山に目をつけ勧誘したという。今年で33歳になり現役を続けながらもソフトボールではなかなか結果を出しつづけにくい年齢になった高山にとってもいいチャンスではないかと思った。

高山は幼少期からスポーツ万能で小学生から始めたスイミングでも個人メドレーの選手とし早くから頭角をあらわし地元では名をはせた。さらに精神修行にと親の進めで始めた柔道でも全国大会に出場し2段を持つなど何をしても全国レベルの才能の持ち主だった。そんな高山が夢中になったのがソフトボールだった。
抜群のフィジカルで投げ込む剛速球に早くから目をつけた全日本の監督だった宇津木は英才教育を施し高山の代名詞「ライズボール」を伝授しアトランタオリンピックでは当時史上最年少の19歳で代表入りし開幕投手を任されるまでになった。その後、シドニー・アテネと連続で選ばれ通算8勝を上げ史上最多記録となっている。(ソフトボールがこのままオリンピック種目に復活しないかぎりこの記録は永遠に不滅となるわけだ。)

しかし年齢からくる衰えと魔球「ライズボール」に慣れられ研究されつくしてきた北京オリンピックでは最終選考で洩れ代表を逃した。

そんな高山に白羽の矢を立てたボブスレー協会ではあったが未経験の高山にオファーするにはやはり時間が少なすぎたのではないだろうか?フィジカルに優れ国際経験も豊かな高山は確かにボブスレーにはうってつけの選手だったかもしれない。しかし全くした事無い競技に飛び込み、簡単に世界と戦うレベルを望むのは無理だったのではないだろうか?やはり時間をかけ潜在能力を見極めたうえしっかりトレーニングをさせソフトボールとの両立ではなくボブスレー専属にさせて心身共にボブスレー選手にしなければ世界と戦うレベルには到底到達しないのではなかと思う。
協会の競技人口普及の為の人気とりや注目を浴びるには貢献した高山だったとは思うが選手としては実にもったいない時間の使い方ではなかっただろうか?
せめてもの救いは「あきらめずにまた挑戦したい」という高山の前向きなコメントだ。

ジェフ千葉  2部に落ちた名門

  • 2009/11/10(火) 00:27:42

日本リーグ時代からの名門・古河電工の流れを汲むジェフ千葉がついに2部リーグに降格してしまった。チーム創設44年間一度も下部リーグに落ちた事のなかった強豪の歴史に終止符が打たれたのだ。

過去にはリーグ優勝も天皇杯も獲った。オシム監督を招聘し下位に低迷していたチーム再建にも成功した。しかしオシムがナショナルチームの監督になったのを境に成績は下降線をたどりチーム内紛をもとに主力選手が次々と移籍するなどここ数年の低迷振りに古豪復活を期待しつつもチームの魅力を欠いていた。
現浦和の阿部や羽生(現東京)、山岸、水野ら当時若手で今、一番脂の乗り切った世代のスター選手達がもし大量移籍していなかったら今でも「アジアで一番美しく華麗なセクシーサッカー」と呼ばれ続けバランスのとれた凄く魅力ある好チームになっていただろうと残念に思う。

クラブは主力放出で多額の移籍金を得て観客動員やグッズ販売数の割には潤ったがチームの弱体化は否めない。それでもクラブは大きな補強もせず長期的な戦略を続けることなく現在の地位に沈んでいったのだ。ちなみにトップチーム登録23名はJリーグ最少数で選手年俸合計も下から数えた方が早い。極めて小さなクラブなのだ。

慢性的な得点不足解消はここ数年の課題だったのは明白なのに外国人補強も大型センターバックを獲得し期待された攻撃陣の補強もチームとマッチせずベンチを温めるレベルの選手を獲得するなどまさにちぐはぐな補強に終始しクラブ首脳陣と現場のチームと意思の疎通もままならず一体感がなかった。
クラブの人事に反発する現場スタッフ(統括マネージャーやスコアラ)を容赦なく解任するなどクラブ首脳陣も頑なにわが道を貫き選手は勿論、サポーターの意向無視の運営姿勢にも大きな問題があった。

そんなチームに一部で戦い続ける力が継続するわけも無くこの結果は致し方ない、いわば当然の結果といえるだろう。
特に今年のチームは昨年、最終戦のしかも後半ロスタイムに奇跡の大逆転勝ちで辛くも一部残留を決めた経緯を踏まえ適切な補強とチーム改革が期待されたがそれもとうとう一年間なされる事なく残り3試合を残し早々と降格が決まってしまった。
サポーターが『一部死守』の横断幕に多数の寄せ書きをし一体となったにもかかわらずクラブが本腰をいれ、てこ入れしなかった為にチームの士気も下がり勝てなくなった。そんな悪循環のチームに来季、一年で一部に復帰できるのだろうか?
もう一度、原点に返ってフロントと現場が一体化しサポーターに心から応援してもらえるような魅力的なチームを作り直してもらいたい。

ピッチを縦横無尽に躍動する黄色いユニフォームがJ1で見れなくなってしまった事が今はただただ残念だ。



U−17ワールドカップ  「プラチナ世代」の敗北

  • 2009/11/07(土) 04:34:33

「プラチナ世代」と騒がれ期待されたU−17ワールドカップ。世界のメディアも注目していた宇佐美を中心にタレント揃いの好チームと期待されていた。ブラジル・メキシコ・スイスと強豪国の入った組み合わせの不運はあったものの決勝トーナメント進出の期待もあったのだが・・・

以前このコーナーで「U−17代表 勝利至上主義に異議」というタイトルで本大会の前哨戦と位置づけられた大会での戦い方に苦言を呈した。そんな僕でもこのチームには期待をしていたので注目してみていた。
初戦は南米チャンピオンのブラジル戦。2度も追いつきながら後半ロスタイムにオウンゴールで突き放され惜敗。続いて2戦目はスイス戦。リードして前半を折り返すも後半立ち上がりに立て続けに失点し3−4で逆転負け。決勝トーナメント進出に僅かな可能性を残した最終メキシコ戦。前半は宇佐美を中心に攻め立て決定的な場面を何度も演出しながら決めきれず終わったら0−2で完敗。結局3連敗で決勝トーナメントには出場できなかった。

北京オリンピック(U−23)でも予選3戦全敗。その下のカテゴリーであるU−20はアジア予選敗退。期待されたU−17でも予選3戦全敗。これが世界に置ける日本のポジションである。期待されていてもテクニック重視のタレントが揃っていても世界レベルではこんなものである。日本はチーム関係者もマスコミももっと言えば選手も勘違いしている節があるのだ。

自分たちは「弱いんだ」という自覚をもって「強い」相手に戦い方、戦術を考え弱点をいかに効率よく補強し練習しなければこの先、日本のサッカーはますます衰退するような気がしてならない。


3戦目のメキシコ戦は今後の日本サッカーの道を案じつつも修正する方向性を示してくれた試合だったと思う。メキシコとは「体格」はほぼ一緒。そんなにフィジカルが強いわけでもない。チーム戦術が徹底されているチームでもなかった。なのに終わったら0−2の完敗。では何が違ったか?それは「メンタル」と「効率」であった。前半は宇佐美のシュートがバー直撃するなど決定機を何度も演出していた。勝たなければいけない日本は前半から前がかりでディフェンスラインも押し上げ早めのチェック、プレスも機能していた。選手個々の動きもかなり良かったと思う。相手ディフェンダーのミスから決定的なキーパーと1対1の状況を2度も作るなど下馬評を覆す日本の躍動に期待はさらに高まった。
しかし状況は徐々にではあるが変わってくる。立て続けに決定機を決めきれないフォワード。状況判断だのテクニック不足だの言われているがやはり「メンタル」だ。絶対的なチャンスな場面に一瞬よぎる思いが「ここで決めなければ・・・」とか「外したら・・・」とか思うのか「ココで決めたらヒーローだ」とか今風に言うと「おいしい」と思うかで結果は180度変わると言っていい。一瞬の出来事で萎縮するか逆に冷静さを保てるかはそれまでの準備よりも経験よりもやはりメンタル面の差が結果を大きく変えてしまうのだ。同じような決定機にメキシコの一点目は同じ状況下でキーパーを欺くループシュートを選択肢し、たった一度のチャンスをいとも簡単にものにした。この「メンタル」の差が大きな差となった。
もう一点の「効率」とは運動効率であり頭脳効率だ。やみくもに走り回れば必ず後半バテる。しかもメンタル面の疲労も大きくなり集中力も欠ける。もっと大事なのは頭脳効率。一番適切な判断を短時間で考える能力だ。短時間でしかも激しいプレーをしながら幾多の選択肢からベストをチョイスする能力だ。この選択をいかに早く正確に行うかが大切なのだ。日本の指導者は試合前のミーティングで「サイドを崩して早いクロスをあげろ」などという指示を出しその反復練習ばかりさせる。だからどんな場面でもどんあときでもチーム戦術を順守し続ける。だからゲームプランが変わったり予想しないシステムや選手と対峙した時でも試合前のミーティング通りの戦術を頑なに守り。その場面一番の選択肢を考えずにプレーする。あわてて考え始めても効率が悪く逆にプレーに迷いが生じいいパフォーマンスができなくなる。つまりもっと「考える」サッカーを身につけ「頭脳効率」を上げる必要があるのだ。その頭脳効率がこの日のメキシコと日本の決定的な差だったと思う。

テクニックがあっても体格が良くてもアジアで強くても世界レベルでは到底、通用しない。それが「世界」だ。つまり今までの戦い方、考え方をこのジュニア、ユース世代から根本的な変えなければ日本のサッカーはますます衰退すると思う。是非一度考えてもらいたい。



ステーシー・ルイス 難病と闘いながら・・・・

  • 2009/11/06(金) 12:15:58

宮里藍がアメリカ女子ツアー逆転賞金王を目指し出場するミズノクラシック。今年は特に注目される大会だがそこに出場するステーシー・ルイスという選手に是非、注目していただきたい。
アメリカ出身の24歳。今季はじめてツアーに参加したルーキーだ。優勝したわけでもなく特に特出した好成績を残しているわけでもなく賞金ランクも50位前後に甘んじている。更に言うと今後、スーパーヒロインになる可能性が高いかと言われても疑問は否めない。

そんな女子ゴルファーに注目していただきたいのは彼女が大きな病と戦いながらトップツアーに参加しているという点だ。
幼少の頃から活発で明るい女の子だったが11歳の時に背骨が左右に曲がる「せきちゅう側わん症」と診断され以後入退院を繰り返すほか上半身に矯正器具を装着しなければ運動どころか生活すらできない体になってしまった。18歳時に手術を受け過酷なリハビリを続けなんとゴルフが出来るほどに回復したのだ。
但し、この手術で完全に治ったわけではなく現在もツアーに参加しながらリハビリを続けないといけないなど出場にも制限され今尚、この「難病」と叩き続けている。

自身の体験を踏まえ、ツアーに参加した各地のリハビリ施設や子供病院を慰問し励ましたり寄付をしたり慈善活動にも積極的だ。10月に兵庫県三木市で行われたマスターズGCレディースに初来日し出場した時も前日に神戸市内の病院を慰問している。「自分が活躍することで病気のことを知ってもらえるし、頑張りたい」と難病に屈しない前向きなコメントを残して病院関係者にも感謝されていた。

子供の頃から痛みや不自由さに悩まされ手術後も過酷なリハビリに耐えプロになる夢をかなえた上、トップツアーに参加して活躍しているステーシー・ルイスの更なる活躍は同じ病気で苦しむ子どもたちに勇気を届けるプレーとなるだろう。



斉藤祐樹  復活を期待するハンカチ王子

  • 2009/11/04(水) 00:35:22

優勝の可能性を僅かに残し迎えた伝統の慶応戦に望んだ斉藤を見て少しがっかりしてしまった。楽天に入団し順調すぎる程の成長をみせている田中に対し大学進学を選択した「ハンカチ王子」。懸念されたプロと大学とのレベルの違いからくる成長のストップを3年生の秋になって如実に感じさせている。




斎藤は「野球だけの人間にはなりたくない」と公言し、将来の進路に迷いに迷ったあの夏からもう3年が経つ、おそらく将来はプロ野球選手になるのだろうけどそれ以外の進路にも道を残した大学生活。高校卒業時は楽天の田中より上という評価があったが今、その評価をするスカウト関係者は多くない。野球に対してストイックに向き合った田中に対し、道を残した斉藤とを比べるのはあまりにも酷というものか?学力に自信があった斉藤とはいえ高校卒業後に即、早大に進めるという確証がなかったら斉藤はプロの道を選んでいたのかもしれなかったしその後、プロで田中以上の成長を遂げた確証もないが高卒、即プロ野球入りした斉藤を見てみたかった気がしてならない。

慶応戦で投げた斉藤は高校生時代、特に夏の甲子園でみせた凄みや正確性は感じられなかった。




投球フォームもあのしなやかで力みのないフォームは完全に影を潜めストレートの速さを追求しようと力みまくった上半身主導のアンバランスなフォームになっていた。まるでキャッチボールでもしているかのようにリラックスして投げ込まれるストレートはスピードは田中をひと回り劣ったものの抜群のキレと回転数、指のかかりは田中以上のストレートだった。あのストレートがあるからコントロールされたスライダーがしっかり効いてくる、あの組み立ては超高校級だった。今は上体が力み、顔が左に傾き肩が開いてしまい肘も下がってしまっている。典型的な上半身主導のあのフォームではストレートは生きてこないはず。なのに大学ではそこそこ勝っている。勿論、レベルの違いもあるが「ツーシーム」という魔球を覚えたのだ。

鳴り物入りで早稲田に進学した斉藤が自身のレベルアップよりもチームが勝つために覚えた「ツーシーム」。フォークのように大きく落ちる「魔球」を覚えかわすスタイルを身につけ勝つためにそれに頼るようになっていた。一方で高校時代のように真っ直ぐで三振を取るシーンはすっかり影を潜めてしまった。
勿論、プロでも「ツーシーム」は列記とした武器になるだろうがそれは「ストレート」ありきの魔球であってプロの世界で簡単に通用する球では絶対にないはずだ。その事を頭のいい斉藤なら十分理解しているはずだ。この先プロで本当にやるのなら伝家の宝刀「ストレート」に磨きをかけなければいけない。その為にも高校時代のあのしなやかでよどみない理想的なフォームに戻してもらいたい。チームの勝利至上主義故にできないことかもしれないが斉藤にはやはりその先を見据えてもらいたい。

来年の今頃は「ドラフト」で大騒ぎになっているだろう。その騒ぎが本物の「騒ぎ」になっていることを期待している。



八子大輔

  • 2009/11/01(日) 13:59:51

「八子大輔」是非この名前を覚えておいてほしい。





今現在は全くの無名選手だが近い将来、早ければこの秋、大ブレークする可能性のあるバレーボール界の未来のスーパースターだ。

長く低迷が続いた男子バレーも北京オリンピックに出場するなど少しづつではあるが世界での地位も確立しつつある。越川やガッツ石島などの現在のエース格に清水、福沢など時期エース候補も順調に成長して日本のウイングスパイカーはここ数年、豊作といわれているがそんな先輩たちを一気に抜いて日本のもしかしたら世界のエースに君臨するかもしれない逸材が八子大輔だ。

192cmの身長に抜群のジャンプ力で最高到達地点は360cmになる世界クラスの21歳は現在、東海大学に通う。並はずれた身体能力と全身の関節の柔らかさなどそのポテンシャルは日本バレー界で史上最高と称される。何より魅力はバレーボールを始めたのが中学生からというからまだまだ伸びしろもあるという点だ。今はスピードとパワーに頼ったポテンシャル任せのスパイクを打ち込んでいるが経験を積んでテクニックや駆け引きを覚えればきっと世界で通用するスパイカーになるだろう。

しかし中学生からバレーを始めたにも関わらず全国大会に出場し「オリンピック有望選手賞」をしかも2年連続受賞し関係者を驚かせた。鳴り物入りで高校バレーの名門・深谷高に入学し即、レギュラー入りし全国制覇に貢献するなどますます成長し続けている。高校入学当時は苦手としていたサーブも威力、コントロールなどその精度は全日本選手よりも高いものにしている。

更に、その身体能力の高さに加え甘いマスクがきっと若い女の子ファンをときめかせるはずだ。ルックスでもプレーでも旋風を巻き起こすのはまちがいない。必ずや近い将来、日の丸の中核を背負い世界クラスのスパイカーになるこの選手を是非、覚えておいてもらいたい。



河内貴哉 あんなにいい球投げるのに・・・

  • 2009/10/31(土) 12:16:01

プロ野球のドラフトが終わった。注目された花巻東高校の菊池は西武に入団がすんなり決まりそうだ。これから始まるであろう長いプロ野球生活の第一歩を踏み出した格好だ。

今年も多くの「金の卵」がプロ野球の世界に入ってきた。そんな中、期待されつつも怪我や不運が重なり自身の意欲とは別に解雇される「過去のスター」も多数いることを忘れてはいけない。

河内貴哉。




広島の復権を託されその活躍が多いに期待された左腕だ。広島の誇る大エース・大野豊がつけていた背番号「24」を継承した高校生に脚光が当たったのは今、思えば入団時だけだったかもしれない。東京の国学院久我山高校時代、都大会で3試合連続完封するなど高校NO,1左腕として争奪戦が繰り広げられた。中日、近鉄、広島と3球団が競合して行われたドラフトではその年、一番の話題だったかもしれない。甲子園に出場していないピッチャーの複数球団競合はあの江夏以来の出来事、さらに貧乏球団と言われた広島が高校生に当時、史上最高額となる契約金1億円を払ったと聞けばその期待度はわかってもらえるだろうか?

大きな腕の振りとしなやかさはプロに入ってじっくり体を作れば十分にエースとして働ける逸材だと僕も思っていた。毎年の様に「期待の左腕」と言われながらなかなか結果が出せない原因として「ハート」の問題と言われていた。

右バッターの内角をえぐる様な150kg級のストレートがありながらコントロールミスが多く。痛打されると今度は恐怖心からか思い切って投げられなくなりファーボールを連発するなど完全に自滅するタイプのピッチャーに成り下がってしまった。ストレートも気がつけば140kmそこそこまで球威が落ちもはや1軍のレベルでは通用しない程まで不調に陥ってしまった。

「練習ではあんなにいい球投げるのに・・・」とその素質はかなり評価されつつも克服されない「ハートの問題」にもはや『終わった投手』とレッテルを貼られその後は脚光を浴びることはなかった。あんなに騒がれたピッチャーだったのに、あんなにいい球を投げるのに・・・そんな言葉がナイーブな彼を襲い更なる不安に駆られ、ますます不調に陥るという完全な「悪循環」にはまったガラスのエースに突きつけられた『解雇』という現実。

フォームをサイドスローに変えて中継ぎ投手に徹しようともしたし肩の手術も受けた。それでも一度自信を失った「過去のエース」を手厚く迎えてくれる程プロ野球の世界は甘くないのだ。

沢山の夢を見て「金の卵」として期待されプロ野球の世界に飛び込んできた選手諸君にはとにかく「思いっきり」やってもらいたい。大成しないかもしれない、不運な怪我で満足なプレーが出来ないかもしれない、チャンスに恵まれず結果を出せない選手もいるかもしれない。それでも貴男達は世の中の全野球選手の中から選ばれた精鋭であり、超エリートなのだからその事を誇りに思いつつも奢らず、しっかり努力してもらいたい。河内が決して奢っていたともさぼっていたとも思わないがあの素質ですら開花しない世界が「プロ野球」の世界だ。だからこそ「思いっきり」「悔いの無いように」頑張ってもらいたいものだ。



バンクーバー金メダル争い序章 フィギアスケート

  • 2009/10/21(水) 17:41:01

来年2月のバンクーバー五輪までいよいよ4カ月を切った。フィギュアスケートもいよいよオリンピックイヤーのグランプリ・シリーズがフランスで幕を開けた。

注目の開幕戦から日本は浅田真央と中野友加里の現段階では実力トップ2が出場し日本勢の特に浅田の最大のライバルである韓国の至宝キム・ヨナもエントリーしてなんといきなりの直接対決になった。







「目標はバンクーバーでの金メダル」と明確に語る浅田にとって最大のライバルとなるキム・ヨナは必ず越えなければならない大きな壁である。この数年、ショートプログラムもフリーもプログラムの内容を大きく変えず自分の得意とする表現力に更なる磨きをかけ、浅田に劣るとされてきたジャンプの正確性の克服に努めてきた成果を着実にあげ続け現段階では浅田の一枚上をいっている感じがある。

今大会も得意技に磨きを掛けジャンプの精度も格段に上がったキム・ヨナに死角なしと見られ浅田がどれだけの差で耐えれるかが焦点だった。
昨季最終戦の世界選手権でキム・ヨナが出した得点は女子史上初の200点超えとなる207.71という驚くべきものだった。この得点がオリンピックでの基準点とされているので優勝の行方よりも得点にも注目された大会となった。

史上初の3回転半+3回転を取り入れ3回転半を2度組み込むなど女子のレベルを突き抜けるほどハイレベルな構成のプログラムの浅田に対し高難度のジャンプがあるわけでもないが確実に加点の見込める計算されつくした構成のキム・ヨナ。
実はここに大きな差があるとされている。ジャンプをミスすれば全く映えない構成の浅田の音楽チョイスやプログラム構成にはここ数年、関係者から大きな疑問が付きまとっている。勿論、「ジャンプをミスしない」という絶対の自信からくる構成であるというのは解るが少なくともここ数年の浅田のジャンプは難易度を重んじる余り正確性に欠けているいるし、大きな進歩を遂げているようには全く見えない。対してキム・ヨナの構成は表現力を十分に重んじた構成を着実にこなしている上、ここ数年、特に昨季で見られたジャンプの精度の高さは浅田並のポテンシャルに上がってきている。着氷の安定感、次の技への移行のスムーズさを加味すればキム・ヨナの方が確実に上に来ている感は否めない。

そして迎えた今大会。
その差は想像以上の大差となり浅田とキム・ヨナの上位関係をはっきりと印象つけるには十分な結果になってしまった。オリンピックイヤー初戦でみせたキム・ヨナのパフォーマンスは本番での採点は印象度もかかわるからキム・ヨナはかなり有利な立場に立った言えるだろう。
キム・ヨナもフリーでジャンプを飛ばないという致命的なミスなどあった。助走に入った直前でタイミングを失い無理を回避したのだ。その冷静かつ適切な判断力に驚くと共に精神状態の良さをアピールする結果にもなったのだが、その加点をなくしても自己ベスト得点、つまり自身が持つ世界最高点をあっさり更新してしまったのだ。今季初戦、今シーズン用に新しくした音楽とプログラム。それなのに自己ベスト。これはまさにキム・ヨナの一強時代をも印象つける圧勝になった。





「練習してきたことが出せませんでした」と肩を落とす浅田に対し「オリンピックに向け課題が見えた」と前を見据えたキム・ヨナ。コメントからも現段階での立場を物語っているようだった。更なる高みを目指し新プログラムの精度を高めてくるであろうキム・ヨナに対し浅田の生きる道はただひとつ『高難度のジャンプを極める』浅田が勝つにはそれしかないのがはっきりした。残り4ヶ月、浅田の奮起を期待すると共に改めてキム・ヨナの強さを知ったフランスでの大会だった。
 



「考える野球」 野村監督の最後の花道

  • 2009/10/18(日) 11:49:43

野村監督の全知全能を賭けた大一番であるはずの今年のプレイオフ。契約の問題でいささか不穏な空気が流れ空中分解の波乱さえも感じさせるがそこは超ベテラン監督。そんな状況さえもプラス要素に変えようと虎視眈々と狙っている感があるのがなんとも不気味だ。

野村監督の事、楽天の事ををコラムで書くのは何度目だろうか?
『名伯楽』
というタイトルで記事にしたのは昨年の2月の事だ。

「考える野球」
全てがこの一言に尽きる野村野球。相手の嫌がることや意味のある凡打など『無形の力』を集約することで弱者が強者に勝つことができるという。

例えば一塁にランナーで出る。そこでボーとする選手はいないだろうが「盗塁するぞ!」「隙あらば狙うぞ!」というジャスチャーをするだけでピッチャーはイライラするしバッテリーは必要以上に気を使い神経を消耗させる事によりきっと配球に影響しコントロールミスを誘発する事ができるというのだ。
さらにトップクラスのバッターが3割。つまり10回打席に立って3回ヒットを打てるが残りの7回は凡打を打っているという事に着目しその7回の凡打をいかにチームに貢献できる凡打を打つ事ができるかを高める必要があるというのだ。例えば先発ピッチャーに球数を投げさせる為、ファールでしっかり粘り単純に疲れさせたり、味方打者に相手投手の投球パターンや配球、タイミングを計らせるなどの効果を放った後にアウトになるとそのひとつのアウトも意味がが出てくるし、ランナーを置いた場面ではランナーを進める右方向へのゴロを打つなどでゴロの凡打が着実に相手を追い詰めるなどの集約こそが相手にとって大変なプレッシャーを与え続け結果、勝利に結びつくという事だ。

更には相手の弱点、長所を徹底的に分析しバッターであれば配球や狙い球を絞る事によって実力の無い打者や衰えを感じているベテラン選手が見事に立ち直り、ピッチャーであれば新しい球種を覚えたりやフォームを変え適材適所で復活するなど「再生工場」と呼ばれる選手再生にはどんな監督よりも長けていると思う。

某球団の様にお金など優遇されスター選手が集まってくるような強いチームと言われる球団の監督には向かないが低コストで選手が若く伸びシロが残っているような現状では弱いチームと言われている球団の監督にこんなに向いている人は見た事が無い。歴代の幾多の監督の中でも1,2を争う名伯楽である事は間違いない。「ぼやき」もすっかり試合終了後の風物詩となった、そんなファンにも愛されている監督の解任にはやはり納得は出来ない面もあるがチームの考え方や契約、方針など表に出てきていない面や出せない面など色んな事があると思うので一概に否定はできないが仙台での最後の花道を見事に飾って更なる球界の歴史に名を残してもらいたい。

宮本(ヤクルト) 本当のプロが残した10日間の足跡

  • 2009/10/10(土) 11:51:51

野村監督の下では万年、優勝戦線の常連だったはずのヤクルトが当時の主力がごっそり抜け監督も3代代わりBクラスに低迷するようになって久しい。今のチームでその時代を知る選手はキャプテン宮本ぐらいしかいなくなってしまった。その宮本もすっかり峠を越えいつ引退してもおかしくないぐらいの年齢になっていた。

そんなヤクルトが開幕から好調を維持しAクラスはおろか優勝を狙える戦いを繰り広げてきた。ところが夏場過ぎて成績が急降下しはじめ気がつくと阪神、広島と三つ巴の3位争いを演じていた。そういう状況に万年Bクラスだったチームのしかも若手が多いチームは委縮し本来の力を出せずにゴロゴロと坂道を転げ落ちていった。

常勝軍団ヤクルトを知る最後の侍宮本は「0−2とか1−3とか真っ直ぐ一本に絞って待ってもいい場面で注文どおりに真っ直ぐがきてもバットが出ない選手がいる。固くなっているんです。こういう経験をもっとしないと、チームは強くならないですね」優勝争いの重圧に打ち勝ち、ここ一番で負けてはいけない試合を勝つ術を知るキャプテンは経験不足の若手にジレンマを感じていたに違いない。

その「勝ち方」をどういう風に若い選手に伝えていくか。それが宮本にとっての最後の務めでもあったのだ。






強烈なキャプテンシーでチームを鼓舞するリーダーは言葉だけでなくその姿勢で「勝ち方」を教えた出来事があった。4位に甘んじていた9月28日、チャンスで巡ってきた打席で宮本は内野ゴロを打ってしまう。誰もがアウトになり意気消沈になると思った瞬間事件はファーストベースで起きた。
宮本は一塁へヘッドスライディングをしたのだ。
宮本は演技でもなくチームを鼓舞するパフォーマンスでもなく「勝ちたい」という一心で「セーフになりたい、ならなければ」という一念でヘッドスライディングで飛び込んでいってしまったのかもしれない。

結果は最悪だった。「アウト」になっただけでなく宮本は親指を骨折してしまったのだ。今季絶望か?という予感が誰もによぎったが宮本は折れた親指に添え木をあてグルグルにテーピングをし守備にバッティングにと出場ししかも活躍し続けた。

激痛をこらえてプレーを続ける宮本が伝えたかったものは一体何だったのだろうか?チームの若い選手に勝つことの難しさを伝えるためにも、 一塁にヘッドスライディングし怪我をした事が決してマイナスにはならないことを身をもって証明しなければならなかったのだろう





痛みは日に日に増すばかりだったが宮本はグランドで人一倍のプレーを見せ続けた。「プロの世界で勝つことの意味」と「勝つことでしか得られない経験」をプレーで見せた宮本。

彼が残したこの10日間の足跡は後世に語られるべき事ではないだろうか?ヤクルトだけでなくプロ野球、いや全スポーツ界にとっても意味のあるプレーだったと思う。「勝つ」事の難しさと喜びを知りつくした男の意地に改めて敬服した。